今回読んだ本
- 東大と野球部と私――勝つために大切なことは何か
- 桑田真澄
どんな本か
元プロ野球選手の桑田真澄さんが、東大野球部の特別コーチになり、強くするためにしたことがまとめられている。
学び、気付き
桑田真澄さんは、いわゆる「ど根性世代」の方。部活中に水を飲むことを禁止され、長時間練習が当たり前の時代で育った。 スポーツと科学が密接になった昨今では、これらの前時代的な考えは非効率と言われている。
桑田さんは練習を効率化するため、常に常識を疑うべきだと主張する。 PL時代、桑田さんは監督に「練習時間を3時間に短くするべきだ」と直談判したそうだ。理由は、「長時間ダラダラと練習しても集中してないし、疲労がたまるだけ」と。 最終的に、その主張が通り、PLでの練習時間は3時間になったらしい。
では、短い時間でどのようにスキルを高めたのか?
最初に行なうのが『準備』です。「アウトコース低めに投げるために、頭が突っ込まないように気をつけよう」と投げる前に1球ずつテーマを決めて準備する。
野球選手はプレーが止まる1球ごとに、『準備』『実行』『反省』というプロセスを繰り返し。
1回投げるごとに目標を決めて、実行する。 できなかったら反省する。これを繰り返す。 常に頭で考えて練習することが重要。
正しいフォームはやりにくい
日々の積み重ねを繰り返しているうちに、ふと気がついたらできていた。そんなものです。やり続けることのご 褒美 として、いつの日かポンとできるようになる。
すぐに何かが上達することはない。 地味でもコツコツ続けていたら、いつのまにかできるようになる。
コーチのアドバイスどおりに投げ方を変えると、違和感を抱き、一時的にいいボールが投げられなくなることがあります。すると、すぐに元に戻してしまうのです。選手たちには、自分の感覚やイメージに合った心地いいフォームがあると思いますが、それが理にかなっていないことも~
正しいフォームは、体が慣れていないため、最初はむずかしい。 それを信じ、我慢して続けられるかどうかが大事。
できないではなく、知らないだけ
「できない」のではなく、やり方、投げ方、勝ち方を「知らない」だけ。知ることさえできれば、必ずできるようになります
東大野球部は負けに負けまくっていた。 しかし、桑田さんや他の元プロのコーチが指導をした結果、強豪校とも接戦ができるようになった。何年ぶりかの勝利も上げた。
根性ではなく、具体的な指導をした結果だ。
イメージと実際の動きは違う
イメージと実際の動きにはギャップがある
自分がイメージしている動きをしていたとしても、実際に動画などで確認するとまったく違っているというのがほとんど。
ただ、桑田さんの場合はイメージと実際の動き(フォーム)がほぼ同じだそう。 つまり、イメージしていたとしても、具体的なフィードバックを検証する必要がある。
例題を解け
(東大の先生に)「勉強のコツは何ですか」と聞いたことがあります。その答えは「例題を解くことがすべて」でした。例題を解くというのは、答えを 導く正しい方法を知り、それを繰り返し学ぶということ。つまり、 正しい方法を知ったうえで、地道に積み重ねる ということ
間違った方法でやっていてもダメ。 正しい努力をする必要がある。
練習量ではない
他校の何倍も練習しなきゃいけないと思わなくていい。練習で大事なのは量や時間ではない。効率的な練習をしたら、早く帰ってしっかり休養をとってください。 ② 何か一つ、今日も「気づき」があるようにしてください。ただ漠然と100球投げたり打ったりするのではなく、1球ずつ何か感じ取れるようにして
プログラミングの勉強や筋トレも同じ。
- 自分で目標を立てる
- どう攻略するか仮説を立てる
- 実行する
- 反省する
- 繰り返す
違和感は大事なサイン
(体のどこかに)違和感があるというのは、無理するなよということ
体にわずかな違和感があれば、「それ以上するな」ということ。 今の時点では小さな怪我でも、無理をすると次の大きな怪我につながる。
怪我でも、体調でも、違和感があれば必ず休むこと。
感想
桑田さんの本は何冊か読んでいるが、効率性を追求する姿勢が勉強になる。 根性論ではなく、事実と科学にもとづいて判断している。
「体表面温度が32度以下になったら体が動きにくくなり、怪我につながりやすい」という根拠をもとに、「寒いときは動ける程度に厚着をしなさい」「汗をかいたら体が冷えないうちに着替えなさい」などとアドバイスしている。
準備、実行、反省と、頭を誰よりも使っていたからこそ、174cmといった小さな体でもあれだけの大投手になれたのだろう。
引退後は大学に入り直してまた野球を勉強するなど、その情熱には頭が下がるし、強く影響を受ける。